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?X.バスの有する社会的意義

 

バスが有する社会的意義について、シンポジウムにおける講演および諸討議を踏まえ、本事業のテーマである“人”、“まち”、“環境”という観点より整理すると、次のような事項が抽出される。

 

1.“人”に係る社会的意義

 

バスの有する社会的意義の中で“人”に係る要素としては、

 

◆高齢者や障害者をはじめとした交通弱者・移動制約者への対応

 

があげられる。
公共交通は全ての人が平等に享受すべき移動手段でるが、現状を踏まえると必ずしもこれを充足しているとはいえない状況を窺うことができる。
とくに、バスをとりまく環境は、都市部での多の交通機関との競合や走行環境の悪化、地方部ではバス利用者の減少や運行頻度の低下等に伴い、バス離れが着実に進行している状況もみられ、厳しさを増しているといえる。
こうした状況の下、バスは、
○マイカーに比べ大量輸送が可能で、空間的効率性が高い。
○大量輸送の鉄道と少量輸送のタクシー、マイカー等の中間に位置する輸送領域を担っており、車両容量面からも輸送手段としての柔軟性が高い。

 

等の特性を有しており、これらに着目すると、

 

●輸送ニーズに応じた効率的かつきめ細かい対応力を有するモビリティ
●マイカーに近いドア・トゥ・ドア性の高いモビリティ
●広域から境域に至る幅広い輸送テリトリーを有するモビリティ

 

等の確保ということが、バスの有する社会的意義として抽出される。

 

2.“まち”に係る社会的意義

 

バスの有する社会的意義の中で“まち”に係る要素としては、

 

◆渋滞解消による交通円滑化への対応
◆都市・地域の活性化への対応

 

があげられる。
都市・地域を形成していく上で、交通計画をどの程度加味させたかにより、活動の効率性が左右される。海外では「まちづくり」と「交通計画」を連携・融合させ、一体的に推進している地域もみられ、その有効性も評価されつつある。
国内の都市をみると、近年のモータリゼーションの急速な進展に伴う交通渋滞の発生などにより、地域における経済活動や地域活力の低下等を窺うことができる。

 

 

 

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